市場概況:MIBK市場は冷え込み、価格が大幅に下落

最近、MIBK(メチルイソブチルケトン)市場の取引環境は著しく冷え込んでおり、特に7月15日以降、華東地区のMIBK市場価格は下落を続け、当初の15,250元/トンから現在10,300元/トンまで下落しました。累計下落幅は4,950元/トン、下落率は32.46%となっています。この急激な価格変動は、市場の需給関係における大きな変化を反映しており、業界が深刻な調整局面にあることを示しています。

 

需要と供給のパターンの逆転:生産拡大のピーク時に供給過剰

 

MIBK業界の拡大期である2024年には、市場の供給能力は大幅に向上しましたが、下流需要の伸びが追いつかず、全体的な需給パターンは供給過剰へと転じました。このような状況に直面し、業界内の高コスト企業は、市場の供給パターンのバランスを取り、在庫圧力を軽減するために、積極的に価格を引き下げざるを得ませんでした。しかしながら、それでも市場は明確な回復の兆しを見せていません。

下流需要が弱く、原材料コストの支えが弱まっている

 

9月に入っても、下流産業の需要状況は大きな改善が見られず、多くの下流企業は生産の進捗状況に基づいて原材料を調達するのみで、積極的な補充意欲に欠けています。同時に、MIBKの主原料であるアセトンの価格も下落を続けています。現在、華東市場におけるアセトン価格は6000元/トンの大台を割り込み、5800元/トン前後で推移しています。原材料コストの低下はある程度のコストサポートとなるはずでしたが、供給過剰の市場環境下では、MIBK価格の下落が原材料コストの下落を上回り、企業の利益率をさらに圧迫しています。

 

市場センチメントは慎重、保有者は価格を安定させ様子見

下流需要の低迷と原材料価格の低下という二重の影響を受け、下流企業は様子見姿勢を強めており、市場への問い合わせは積極的に行われていません。一部のトレーダーは在庫が少ないものの、市場の見通しが不透明なため、補充の意思はなく、適切な時期を待って操業しています。一方、ホルダーは概ね価格安定戦略を採用し、長期契約による注文で出荷量を維持しており、スポット市場取引は比較的分散しています。

 

機器状況分析:安定稼働中だが、保守計画が供給に影響

 

9月4日現在、中国のMIBK業界の有効生産能力は21万トンで、現在の稼働能力も21万トンに達し、稼働率は約55%を維持しています。注目すべきは、9月に業界内の5万トン規模の設備がメンテナンスのため停止する予定であり、市場供給にある程度影響を与えることです。しかし、全体として、他の企業の安定した操業を考慮すると、MIBK市場の供給は依然として比較的限られており、現在の需給パターンを迅速に変化させることは困難です。

 

コスト利益分析:利益率の継続的な圧縮

 

原料アセトン価格の低下を背景に、MIBK企業のコストはある程度削減されたものの、需給バランスの影響でMIBK市場価格の下落幅が拡大し、企業の利益率は継続的に圧迫されている。現在、MIBKの利益は269元/トンにまで減少しており、業界の利益圧力は大幅に高まっている。

 

市場見通し:価格は引き続き弱く下落する可能性がある

 

今後の見通しとしては、原料アセトン価格は短期的に依然として下落リスクがあり、下流企業の需要も大きな伸びが見込めないため、MIBKの購入意欲は低迷が続くと予想されます。こうした状況下で、保有者は主に長期契約による発注で出荷量を維持し、スポット市場取引は低迷を続けると予想されます。そのため、MIBK市場価格は9月下旬も引き続き緩やかに下落し、華東地区の主流の交渉価格帯は9900~10200元/トンに落ち着くと予想されます。


投稿日時: 2024年9月5日