1、フェノールケトンの基礎分析

 

2024年5月に入ると、フェノール・アセトン市場は連雲港の65万トンフェノールケトンプラントの稼働開始と揚州の32万トンフェノールケトンプラントのメンテナンス完了の影響を受け、市場の供給見通しに変化が生じました。しかし、港湾在庫の低迷により、華東地区のフェノールとアセトンの在庫水準はそれぞれ1万8千トンと2万1千トンにとどまり、3ヶ月ぶりの低水準に近づきました。こうした状況は市場心理の回復につながり、フェノールとアセトンの価格をある程度支えています。

 

2023年から2024年にかけての華東港におけるフェノールとアセトンの在庫動向統計

 

2、価格動向分析

 

現在、中国におけるフェノールとアセトンの価格は国際市場において比較的低い水準にあります。こうした状況を受け、国内企業は国内市場の供給圧力を緩和するため、積極的に海外への輸出機会を模索しています。輸出データによると、5月から6月にかけて中国では約11,000トンのフェノール輸出注文が出荷待ちでした。この傾向は今後も継続すると予想され、国内フェノール市場の価格をある程度押し上げる要因となるでしょう。

 

2023年から2024年までのフェノールケトン工場の理論的収益性と業界稼働率統計

 

アセトンについては、来週は大連からの入荷と浙江省からの少量の入荷が見込まれますが、江蘇省のフェノールケトン工場2社の再開と契約に基づくアセトン納入の完了を考慮すると、倉庫からの集荷速度は徐々に鈍化すると予想されます。これはアセトン市場における供給圧力が緩和され、アセトン価格に一定の下支えとなることを意味します。

 

3、損益分析

 

最近、フェノール価格の下落により、高コストのフェノールケトン企業は若干の損失を被っています。データによると、2024年5月11日現在、非統合型フェノールケトン工場の1トン当たりの損失は193元/トンに達しています。しかし、フェノールターミナルの商品在庫の不足とサウジアラビアからの輸入品の到着時期を考慮すると、来週にはフェノール市場で在庫調整が行われる可能性があると予想されます。この要因はフェノール市場の価格上昇を後押しし、フェノールケトン企業の収益性にプラスの影響を与えるでしょう。

 

アセトン市場は、価格は比較的安定しているものの、市場全体の需給状況と今後の供給圧力の緩和を考慮すると、アセトン市場価格はレンジ内での安定傾向を維持すると予想されます。華東ターミナルにおけるアセトン価格の予測は、1トンあたり8100~8300元です。

 

4、その後の開発分析

 

上記の分析に基づき、フェノールおよびアセトン市場は今後、様々な要因の影響を受けることが分かります。供給増加は市場価格に一定の圧力をかける一方で、在庫の減少、購買力の上昇、輸出受注の積み上げといった要因も市場価格を支える要因となります。そのため、フェノールおよびアセトン市場は、不安定な安定トレンドを示すことが予想されます。


投稿日時: 2024年5月15日