1、市場価格の変動と動向
2024年第3四半期、ビスフェノールAの国内市場はレンジ内で頻繁に変動し、最終的には弱気傾向を示しました。この四半期の平均市場価格は9889元/トンで、前四半期比1.93%上昇し、187元/トンに達しました。この変動は主に、伝統的な閑散期(7月と8月)の需要低迷と、下流のエポキシ樹脂業界の定期的な操業停止とメンテナンスの増加により、市場需要が限られ、メーカーが出荷に困難に直面していることに起因しています。コストが高いにもかかわらず、業界の損失は深刻化し、サプライヤーが譲歩する余地は限られています。華東地域では、市場価格は9800~10000元/トンの範囲で頻繁に変動しています。「黄金の9」期に入り、メンテナンスの減少と供給の増加は、市場の供給過剰の状況をさらに悪化させています。コストサポートにもかかわらず、ビスフェノールAの価格は依然として安定しにくく、ピークシーズンの低迷現象が顕著です。
2、生産能力の拡大と生産量の増加
第3四半期のビスフェノールA国内生産能力は583.5万トンに達し、第2四半期比24万トン増加しました。これは主に、華南の恵州第二期工場の稼働開始によるものです。生産量に関しては、第3四半期の生産量は97万1,900トンで、前四半期比7.12%増の6万4,600トンに達しました。この成長傾向は、新規設備の稼働開始と設備メンテナンスの減少という二重の効果によるもので、国内ビスフェノールA生産量の継続的な増加につながっています。
3、下流産業が生産を増やし始めている
第3四半期には新規生産能力の稼働はなかったものの、下流のPCおよびエポキシ樹脂業界の稼働負荷は増加しました。PC業界の平均稼働負荷は78.47%で、前期比3.59%増加しました。エポキシ樹脂業界の平均稼働負荷は53.95%で、前月比3.91%増加しました。これは、両下流業界におけるビスフェノールAの需要が増加し、市場価格を支えていることを示していました。
4、コスト圧力の増大と業界の損失
第3四半期、ビスフェノールA業界の理論平均コストは11,078元/トンに上昇し、前月比3.44%増加しました。これは主に原料フェノール価格の上昇によるものです。しかし、業界平均利益は-1,138元/トンに低下し、前期比7.88%の減少となりました。これは、業界全体のコスト圧力が極めて大きく、損失状況がさらに悪化していることを示しています。原料アセトン価格の下落は相殺されたものの、総コストは依然として業界の収益性に寄与していません。
5、第4四半期の市場予測
1) コスト見通し
第4四半期には、フェノールケトン工場のメンテナンスが減少すると予想され、輸入品の港湾への到着と相まって、市場におけるフェノールの供給量が増加し、価格が下落する可能性があります。一方、アセトン市場は、供給過剰により価格が低水準で調整されると予想されます。フェノールケトンの供給量の変化は市場動向を左右し、ビスフェノールAの価格に一定の圧力をかけるでしょう。
2) 供給側予測
第4四半期の国内ビスフェノールA工場のメンテナンス計画は比較的少なく、常熟と寧波地区のメンテナンス契約もわずかです。一方で、山東省における新たな生産能力の解放への期待もあり、第4四半期もビスフェノールAの供給は潤沢に続くと予想されます。
3) 需要面の見通し
下流産業におけるメンテナンス作業は減少しているものの、エポキシ樹脂業界は需給矛盾の影響を受けており、生産は比較的低水準で推移すると予想されます。PC業界では新規設備の稼働開始が期待されますが、実際の生産進捗状況やメンテナンス計画が操業負荷に与える影響には注意が必要です。全体として、第4四半期の下流需要は大きな伸びは見込めないでしょう。
コスト、供給、需要の包括的な分析に基づくと、ビスフェノールA市場は第4四半期に低調に推移すると予想されます。コストサポートが弱まり、供給期待が高まり、下流需要の大幅な改善は困難です。業界の損失状況は継続、あるいは悪化する可能性があります。したがって、潜在的な市場変動リスクに対処するため、業界内の計画外の負荷削減や保守作業を綿密に監視する必要があります。
投稿日時: 2024年9月26日