1、市場概要と価格動向
2024年上半期、国内MMA市場は供給逼迫と価格変動の複雑な状況に直面しました。供給面では、頻繁な設備停止や負荷軽減により、業界の稼働率が低下しました。また、海外での設備停止やメンテナンスも、国内MMAスポット供給不足を深刻化させました。需要面では、PMMAやACRなどの業界の稼働率は変動しているものの、市場全体の需要の伸びは限定的です。こうした状況下で、MMA価格は顕著な上昇傾向を示しました。6月14日現在、市場平均価格は年初比1651元/トン上昇し、13.03%の上昇となりました。
2、供給分析
2024年上半期、中国のMMA生産量は前年同期比で大幅に増加しました。頻繁なメンテナンス作業にもかかわらず、昨年稼働を開始した33万5千トンユニットと重慶に増設された15万トンユニットは徐々に安定稼働を再開し、総生産能力の増強につながりました。また、重慶での生産拡大はMMAの供給量をさらに増加させ、市場を力強く支えています。
3、要件分析
下流需要の観点から見ると、MMAの主な応用分野はPMMAとアクリルローションです。2024年上半期には、PMMA業界の平均稼働率は若干低下する一方、アクリルローション業界の平均稼働率は上昇すると予想されます。両者の同期した変化により、MMA需要全体の改善は限定的です。しかし、経済の緩やかな回復と下流産業の安定した発展に伴い、MMA需要は安定した成長を維持すると予想されます。
4、コスト利益分析
コストと利益の面では、C4法とACH法で生産されたMMAは、上半期にコストが減少、粗利益が増加する傾向を示しました。その中で、C4法MMAの平均生産コストはわずかに減少しましたが、平均粗利益は前年同期比121.11%と大幅に増加しました。ACH法MMAの平均生産コストは上昇しましたが、平均粗利益も前年同期比424.17%と大幅に増加しました。この変化は主に、MMA価格の大幅な上昇と限定的なコスト譲歩によるものです。
5、輸入と輸出の分析
輸出入の面では、2024年上半期の中国のMMA輸入量は前年同期比25.22%減少した一方、輸出量は前年同期比72.49%増加し、輸入量の約4倍となった。この変化は主に、国内供給量の増加と国際市場におけるMMAの供給不足によるものである。中国メーカーは輸出量拡大の機会を捉え、MMAの輸出シェアをさらに拡大した。
6、将来の展望
原料:アセトン市場では、下半期の輸入状況に特に注意を払う必要がある。上半期のアセトンの輸入量は比較的少なく、海外の設備やルートにおける予期せぬ事態により、中国への到着量は多くなかった。そのため、下半期のアセトンの集中的な到着は市場供給に一定の影響を与える可能性があるので注意が必要である。同時に、MIBKとMMAの製品稼働状況も注意深く監視する必要がある。両社の収益性は上半期は良好であったが、それが継続できるかどうかはアセトンの評価に直接影響する。下半期のアセトンの平均市場価格は7500~9000元/トンで推移すると予想される。
需給面:下半期に向けて、国内MMA市場では、遼寧省盤錦市の某企業のC2法5万トン/年MMAユニットと福建省の某企業のACH法10万トン/年MMAユニットの2つの新規ユニットが稼働し、MMAの生産能力は合計15万トン増加する。しかし、下流需要の観点から見ると、予想される変動は大きくなく、需要側の生産能力の伸び率はMMAの供給伸び率に比べて比較的緩やかである。
価格動向:原材料、需給、国内外の市場状況を考慮すると、MMA価格が下半期も引き続き急騰する可能性は低いと予想されます。むしろ、供給が増加し、需要が比較的安定しているため、価格は徐々に適切な変動範囲に戻る可能性があります。中国華東市場におけるMMA価格は、下半期には1トンあたり12,000~14,000元で推移すると予想されます。
全体的に、MMA 市場は一定の供給圧力に直面しているものの、下流需要の安定した成長と国内市場と国際市場の連携が強力なサポートとなるでしょう。
投稿日時: 2024年6月18日